日々の収入と支出はどう決算書に表れる?初心者向け会社のお金の全体像
日々の収入と支出はどう決算書に表れる?初心者向け会社のお金の全体像
会社のお金は毎日動いています。
それでも、今どんな状態なのか分からないと感じる人は少なくありません。
収入や支出を把握しているつもりでも、全体像が見えていないことがあります。
それらがどのように会計や決算書につながっているのかは、意外と分かりにくいものです。
本記事では、日常のお金の動きがどのように整理されるのかを取り上げます。
それが決算書としてどのように表れるのかを、順を追って見ていきます。
1.日々のお金の動きと会計の基本的な関係
(1)会社に入ってくるお金と出ていくお金の種類
会社のお金は、単に増えたか減ったかだけで判断できるものではありません。
入ってくるお金、出ていくお金には、それぞれ異なる役割があります。
まず、入ってくるお金にも種類があります。
・売上として入ってくるお金
・借入によって一時的に入るお金
・立替分が戻ってくるお金
これらは、すべて同じ「収入」ではありません。
一方、出ていくお金も性質が異なります。
・売上に直接関係する仕入
・毎月発生する固定的な支出
・不定期に発生する一時的な支出
これらを区別せずに見ると、会社が「何にお金を使っているのか」が分からなくなります。
決算書は、こうした性質の異なるお金を整理し、意味のある形で並べ直すための資料です。
(2)お金の増減を把握できない状態が続く怖さ
通帳の残高を見ていれば安心、というわけではありません。
残高だけでは、会社の状況を説明することはできません。
例えば、
・なぜ残高が増えたのか
・どの取引が影響しているのか
・一時的な動きなのか
こうした点が分からないままでは、過去を振り返ることもできません。
把握できない状態が続くと、
・状況を言葉で説明できない
・数字をもとに比較できない
・後から検証することができない
という問題が生じます。
会計の役割は、お金の動きを「後から確認できる状態」に残すことです。
増えたか減ったかよりも、「何が起きていたのか」を把握できることが重要です。
(3)支出の意味を考えずに使うと何が起きるのか
支出は、金額の大小だけで評価するものではありません。
重要なのは、「何のために使った支出なのか」です。
支出の意味を考えずに使っていると、
・後から内容を思い出せない
・なぜお金が減ったのか分からない
・改善点を見つけられない
といった状態になります。
特に注意したいのは、
・目的が曖昧なまま続いている支出
・毎月なんとなく払っている支出
です。
支出は、使った瞬間ではなく、振り返ったときに意味を持ちます。
意味づけされていない支出が多いと、決算書を見ても原因が読み取れません。
ここでは、経費や税金の話ではなく、
「お金の使い方を振り返れなくなるリスク」に焦点を当てることが大切です。
(4)記録がないと過去の判断を検証できない理由
記録がない状態では、過去の出来事を正しく振り返ることができません。
うまくいったことも、失敗したことも、理由が分からなくなります。
記憶に頼った経営では、
・なぜ結果が出たのか分からない
・同じ判断を繰り返してしまう
・改善につながらない
という問題が起こります。
記録とは、正解を出すためのものではありません。
・過去を確認するため
・比較するため
・検証するため
に必要なものです。
会計は、未来を予測する道具ではなく、過去を使える形で残す仕組みです。
この視点を持つことで、記録の意味が変わってきます。
(5)会計を見ない経営が長続きしない理由
事業規模が小さいうちは、感覚で回せる場面もあります。
しかし、取引や支出が増えると、それだけでは限界がきます。
会計を見ない経営では、
・状況を共有できない
・他人に任せられない
・説明ができない
という問題が積み重なります。
結果として、
・経営が個人の記憶に依存する
・判断や管理が属人化する
・継続が難しくなる
という状態に陥ります。
会計は、会社を成長させるためのものではなく、続けるための最低限の仕組みです。
長く経営を続けるためには、避けて通れない土台と言えます。
2.収入と支出はどうやって決算書になるのか
(1)日々の取引が帳簿に記録される流れ
会社では、毎日のようにお金に関わる出来事が発生します。
ただし、起きた出来事がそのまま決算書に反映されるわけではありません。
日常の取引には、次のようなものがあります。
・商品やサービスの提供
・仕入や外注費の支払い
・家賃や通信費などの固定的な支出
これらの取引は、請求書や領収書などの証拠書類をもとに記録されます。
記帳とは、現実に起きた取引を後から確認できる形に置き換える作業です。
ここで重要なのは、単に金額を並べることではありません。
次の点が分かる形で残すことが重要です。
・いつ発生した取引なのか
・どのような内容の取引なのか
・継続的なものか一時的なものか
この情報がそろってはじめて、後から内容を振り返ったり全体を整理したりすることが可能になります。
日々の取引を正しく記録することが、決算書作成の第一歩です。
(2)記帳が積み重なって決算書になる仕組み
ここでいう記帳とは、通帳に印字する作業ではなく、日々の取引を会計ルールに沿って帳簿に記録することを指します。
1日の取引は、小さな出来事の連続です。
しかし、これらが積み重なることで会社全体の姿が見えてきます。
日々の記帳は、
・月ごとに整理され
・期間単位で集計され
・年間のまとめとして決算書になります
決算書は、日常の記録が形を変えて集まった結果です。
決算というと特別な作業を想像しがちですが、実際には日々の記録の延長にあります。
普段の記帳が丁寧であれば、決算時に新たな情報を作り出す必要はありません。
反対に、日常の記録にズレや抜けがあれば、その影響は決算書にそのまま表れます。
決算書は、その年に何が起きていたのかをまとめた結果資料です。
(3)決算書にまとめられる主な書類
決算書と聞くと、1枚の書類を想像する人も少なくありません。
しかし、実際には複数の書類を組み合わせて会社の状態を確認します。
決算書には、
・会社にどのような資産や負債があるか
・1年間でどのような成果が出たか
・お金がどのように動いたか
といった情報が、それぞれ異なる書類としてまとめられています。
それぞれの書類は、会社の一部分だけを切り取って表したものです。
一つだけを見ても、全体は分かりません。
複数の書類を合わせて見ることで、会社の状況が立体的に見えてきます。
まずは、役割の違う資料がセットになっているという点を理解することが大切です。
(4)決算のタイミングで何が整理されるのか
決算は、単なる締め作業ではありません。
1年間に起きたお金の動きを整理し、並べ直す工程です。
このタイミングで、
・支出や取引の偏り
・管理が行き届いていなかった部分
・日常では見落としがちな流れ
が、数字として表に出てきます。
決算は、評価を行う前の整理の段階です。
良いか悪いかを決める前に、まず現状を正確に並べ直す役割があります。
普段の業務では細かく見られなかった点も、決算ではまとめて確認されます。
そのため、決算は会社全体を見直す区切りのタイミングになります。
(5)決算書が完成するまでの全体像
ここまでの流れを整理すると、決算書は次のような順序で作られます。
・日々の取引が発生する
・証拠をもとに記録される
・一定期間ごとに集計される
・年間のまとめとして決算書になる
この一連の流れが、決算書です。
決算書は、日常の業務から切り離された特別なものではありません。
普段のお金の動きが整理されて表に出ているだけです。
全体像を理解すると、決算書は突然出てくる書類ではなく日常の延長線上にあるものだと分かります。
3.決算書を知ると経営が楽になる理由
(1)会社の状況を説明できないと起きる困りごと
会社の状況を正確に説明できないと、思わぬ場面で困ることがあります。
自分では分かっているつもりでも、言葉や数字で説明できないと相手には伝わりません。
例えば、
・今どのくらいの規模で事業をしているのか
・お金は増えているのか減っているのか
・どこにコストがかかっているのか
こうした質問に、感覚だけで答えるのは難しいものです。
決算書は、会社の状況を第三者に説明するための資料です。
自分の頭の中にある感覚を、共通の形に整理してくれます。
説明できない状態が続くと、
話が噛み合わなかったり、認識のズレが生まれたりします。
決算書を知ることは、状況を共有するための土台を持つことでもあります。
(2)数字の見方を間違えると起きる経営の勘違い
決算書に数字が並んでいても、見方を誤ると勘違いが起きます。
一部の数字だけを見て、全体を把握したつもりになるケースは少なくありません。
よくある例として、
・売上だけを見て安心してしまう
・一時的な数字を継続的なものだと誤解する
・全体を見ずに一部分だけで判断する
といった状況があります。
数字は、単体では意味を持ちにくいものです。
前後の流れや、他の数字と合わせて見ることで、はじめて状況が分かります。
決算書は、数字を一定のルールで並べ直しています。
そのため、勘違いが起きにくい形で全体を見ることができます。
(3)決算書を見て初めて気づく日常管理の抜け漏れ
日常業務では、細かい部分まで常に把握するのは難しいものです。
その結果、気づかないまま続いている管理の抜けや偏りが生まれます。
決算書を見ると、
・特定の支出が想像以上に大きかった
・思っていたよりも利益が残っていなかった
・偏った取引が続いていた
といった点に、あとから気づくことがあります。
決算書は、日常管理の答え合わせをする資料です。
普段のやり方が、そのまま数字として表れます。
これは失敗を責めるためのものではありません。
状況を整理し、現実を知るための仕組みです。
(4)第三者に説明できる数字を持つことの重要性
経営は、自分一人だけで完結するものではありません。
税理士や外部の担当者など、第三者と話す場面が必ず出てきます。
そのときに必要になるのが、
・客観的に確認できる数字
・共通の前提として使える資料
です。
決算書は、立場の違う人同士をつなぐ共通言語になります。
感覚的な説明では伝わらないことも、数字があれば共有できます。
説明できる数字を持つことで、
話がスムーズになり、やり取りの手間も減ります。
(5)決断を先延ばしにしなくなる理由
決断を先延ばしにしてしまう原因は、迷いではありません。
多くの場合、過去の情報が整理されていないことが原因です。
数字が残っていないと、
・前回どうだったのか分からない
・比較する材料がない
・毎回ゼロから考えることになる
という状態になります。
決算書は、経営の履歴を残すための資料です。
過去の状況を振り返ることができれば、同じところで立ち止まらずに済みます。
判断を早めるためではなく、
迷い続ける状態を減らすために、決算書は役立ちます。
まとめ
会社のお金の管理は、特別な作業から始まるものではありません。
日々の取引や支出といった、身近なお金の動きがすべての出発点になります。
それらは記帳によって整理され、積み重なっていきます。
その結果として、決算書という形にまとめられます。
決算書は、会社の成績を評価するためだけのものではありません。
日常の管理が、どのような結果につながっているのかを確認するための資料でもあります。
また、会社の状況を説明し、過去を振り返るためにも役立ちます。
難しい用語や細かいルールをすべて理解する必要はありません。
まずは、日々のお金の動きが決算書につながっているという全体像をつかむことが大切です。
その意識を持つだけでも、会社のお金との向き合い方は変わってきます。