「経理」って何をしているの？知らないと損する仕事の全体像
「経理」って何をしているの？知らないと損する仕事の全体像
「経理って、なんだか難しそう…」そんなふうに感じたことはありませんか？数字に強い人だけができる仕事、資格がないと触れない世界。そう思われがちですが、実際の経理はもっと身近で、人の信頼に直結する仕事です。経理の基本は「会社のお金の流れを整えること」。売上、支払い、利益――数字の動きの裏には、必ず“人の努力”があります。その動きを整理し、正確に記録し、未来の判断に生かす。経理とは、会社を支える縁の下の力です。この記事では、経理の基礎知識から1日の流れ、そして経理が会社にもたらす価値までを、初心者にもやさしく解説します。数字の意味を理解できるようになると、仕事の見え方が変わります。「数字が読める人」は、どんな職場でも信頼される存在です。ここから、あなたの経理の第一歩を一緒に始めましょう。きっと、数字の世界が少しずつ楽しく感じられるはずです。
1.経理とは？会社の“お金の動き”を整える仕事
(1)経理の基本的な役割
経理とは、会社のお金の流れを正確に記録・整理する仕事です。
日々の取引を数字でまとめることで、経営の状態を見える形にします。
お金がどこから入り、どこへ出ていくのか。
その動きを把握することで、経営者は安心して判断できます。
主な業務は次の3つです。
・入金・支払いの確認
・領収書や請求書の整理
・帳簿や会計ソフトへの入力
これらを丁寧に積み重ねることで、会社の数字に信頼が生まれます。
経理は、会社の土台を支える数字の管理者です。
まさに「企業の健康診断書」を作る仕事ともいえるでしょう。
(2)経理・会計・財務のちがい
似ている3つの言葉ですが、役割は異なります。
・経理：日々のお金の出入りを記録し、整理する。
・会計：経理で集めた数字をもとに分析・報告する。
・財務：お金をどう集め、どう使うかを計画する。
経理が正確でなければ、会計も財務も正しく機能しません。
経理は会社の数字を生み出す最初の工程であり、すべての基礎になります。
いわば会社の「数字の入り口」であり、経営の出発点です。
(3)経理が必要な理由
会社の活動には、常にお金が関わります。
仕入れ・給料・家賃・光熱費・税金など。
それらを記録し、管理するのが経理の役割です。
記録に誤りがあれば、次のような問題が起こります。
・税金の申告を誤る
・資金繰りが狂う
・銀行や取引先の信用を失う
正しい経理は、会社を守る安全装置です。
さらに、経理の数字は未来の計画にも役立ちます。
支払いや入金の予定を把握すれば、資金不足を防げます。
経理は、会社の進む方向を示す経営の地図ともいえる存在です。
(4)経理が整うと会社が変わる
経理が整うと、会社全体の動きがスムーズになります。
お金の流れが明確になり、無駄な支出が減ります。
社内の情報共有も進み、他部署との連携が取りやすくなります。
・営業部：売上や原価をすぐ確認できる
・人事部：人件費を把握して採用計画を立てられる
・経営層：数字を根拠に判断できる
また、税理士や銀行とのやり取りもスムーズになります。
書類提出や説明に一貫性がある会社は、信頼されやすいです。
正確な数字は、会社の信用そのものを示します。
経理が整っている会社ほど、組織の動きが軽く、決断も速くなります。
(5)経理に向いている姿勢
経理の仕事には、次の3つの姿勢が欠かせません。
・正確さ：細かな確認を怠らない
・継続力：日々の積み重ねを続ける
・誠実さ：数字に責任を持つ
経理は地味な仕事に見えますが、会社の根幹を支える重要な業務です。
期限やルールを守ることで、社内外の信頼が高まります。
小さな確認の積み重ねが、大きな安心を生みます。
最近では、会計ソフトやクラウドの導入により、初心者でも始めやすくなりました。
大切なのは、単に作業をこなすのではなく、目的を理解して動くことです。
経理は数字を扱うだけでなく、会社の未来を守る仕事です。
正確な記録を積み重ねることが、信頼と成長を生み出します。
2.経理の1日と基本業務の流れ
(1)経理の1日のスタート
経理の1日は、確認と準備から始まります。
朝一番に行うのは、前日の取引データや入出金のチェック。
通帳の残高、ネットバンキングの入金、クレジット決済などを確認し、帳簿とのズレがないかを見ます。
次に、メールや社内チャットを開き、請求書・領収書の整理を行います。
「どの支払いが今日必要か」「どの入金がまだ反映されていないか」を把握することが大切です。
この段階で確認漏れがあると、後の処理に影響します。
経理の仕事は、小さな確認の積み重ねが大きな安心につながる仕事です。
(2)午前中の主な業務
午前中は、取引の記録と書類整理が中心です。
主な作業内容
・仕入や売上などの伝票を会計ソフトに入力
・領収書や請求書を日付順に整理
・銀行振込や現金払いの記録を確認
これらは、いわゆる日次業務と呼ばれます。
会社のお金の流れを「今日の時点」で整理しておくことで、後の集計がスムーズになります。
また、支払い期日の近い請求書をまとめ、上司に確認を依頼。
支払い漏れや二重払いを防ぐため、ダブルチェックが行われます。
正確な処理ができると、1日の後半の仕事が格段に楽になります。
(3)午後の業務とコミュニケーション
午後は、振込処理・入金確認・経費精算が中心です。
支払い担当として、銀行口座やオンラインバンキングを使用し、入出金を処理します。
経費精算では、社員から提出されたレシートを確認。
交通費・交際費・備品費など、費目ごとに分けて処理します。
社内規定と照らし合わせ、金額や用途の妥当性をチェックすることも重要です。
経理は、一人で黙々と作業する印象を持たれがちです。
しかし、実際には社内外との連携が欠かせません。
関わる相手の例
・営業部・総務部との調整
・外部の税理士や会計事務所との情報共有
正確な報告と情報共有ができる人ほど、経理として信頼される存在になります。
(4)1日の締めと翌日への準備
夕方には、1日の処理をまとめる日次締めを行います。
入力漏れや金額のズレがないかを最終確認し、帳簿を保存します。
チェック項目
・残高確認（現金・預金・売掛金・買掛金）
・会計ソフトへの最終入力
・書類のファイリングとバックアップ
最後に、翌日の予定を確認。
月末や決算期が近い場合は、支払い予定や資料作成の段取りを整えます。
ここまで終えて、ようやく経理の1日が終了です。
(5)日次・月次・年次業務のつながり
経理の仕事は、1日ごとの積み重ねで成り立っています。
毎日の日次業務が、月末の月次処理につながり、最終的には決算（年次業務）を支えます。
各業務の概要
・日次業務：取引記録・入出金確認・経費精算
・月次業務：売上・費用の集計、試算表の作成
・年次業務：決算書の作成、税務申告の準備
どの業務も、基本は同じです。
正確に・早めに・整理して記録すること。
この3つを意識することで、経理全体がスムーズに回ります。
経理の1日は、地味に見えても会社を支える大切なリズム。
正確な記録が積み重なることで、会社は安定して成長していきます。
3.経理が会社にもたらす価値
(1)数字で「現状」を見える化する力
経理の価値は、会社のお金の動きを数字で見える化することにあります。
「どこで利益が出ていて、どこでコストが膨らんでいるのか」
これを把握できなければ、経営判断は勘に頼るしかありません。
経理が整理する数字は、いわば会社の健康診断表。
いまの状態を客観的に知ることが、改善の第一歩です。
数字を見える化するメリット
・強みと弱みがはっきりする
・無駄なコストを発見できる
・資金不足のサインを早期に察知できる
・数字を根拠に議論できる環境が生まれる
数字は会社の「共通言語」です。
誰が見ても同じ基準で話せる。
だからこそ、組織全体の動きが速く、正確になるのです。
(2)経営判断を支える「データの通訳者」
経理は、単に数字を集めるだけではありません。
その数字の「意味」を読み取り、伝える存在です。
たとえば――
・「売上が増えているのに利益が減っている」
・「黒字なのに資金が足りない」
・「支出を減らしたのに現金が減っている」
こうした矛盾のような現象も、経理が分析すれば理由がわかります。
経理は、数字の通訳者であり分析者です。
「なぜそうなったのか」「どこを改善できるか」を言葉に変え、
経営陣や現場に伝えます。
数字は無言でも、経理が声を与えれば“会社の羅針盤”になります。
判断の根拠が生まれ、チーム全体が同じ方向を向くのです。
(3)未来をつくる「経営のパートナー」
経理の仕事は、過去を整理するだけでは終わりません。
数字をもとに未来を描く力が、経理のもう一つの価値です。
たとえば
・費用を抑えつつ利益率を上げる方法の検討
・投資や融資の最適なタイミングを判断
・売上の伸びを活かした事業戦略の提案
経理は、数字という地図をもとに「次の一手」を導き出します。
経営会議での資料づくり、予算の見直し、資金計画の修正――
そのすべてが、未来の経営判断を支える基盤になります。
過去→現在→未来をつなぐ。
それが、経理が担う“経営の設計士”としての役割です。
(4)信頼を生む「見えない貢献」
経理は、表に出る仕事ではありません。
しかし、会社の信頼を守る“最後の砦”でもあります。
・支払いの遅延を防ぐ
・請求書や領収書を正確に処理する
・税務と会計のルールを徹底的に守る
この「当たり前」を続けることが、
取引先・金融機関・社員からの信頼につながります。
経理が整っている会社は、取引がスムーズでミスも少ない。
だからこそ、社外からの評価も高くなります。
経理はまさに、縁の下の力持ち。
目立たなくても、会社の信頼を静かに支える存在です。
(5)経理が変える会社の未来
経理が力を発揮すれば、会社の未来は大きく変わります。
・数字を正しく読み、ムダを減らす
・資金の流れを把握し、安心して投資できる
・経営者や現場と連携し、未来の戦略を描く
経理は「事務職」ではなく、経営の心臓部です。
正確な数字が整えば、会社は動きやすく、判断も速くなります。
経理が整えば、会社が変わる。
数字が整えば、未来が動き出す。
まとめ
経理の仕事は、単なる「お金の管理」ではありません。
それは、会社の未来を描くための“設計図”を作る仕事です。
まず、収益と費用の関係を理解すること。どこでお金が生まれ、どこで使われ、どれだけ残るのか。この流れを正確に把握するだけで、会社の「健康状態」が見えてきます。
そして、毎日の業務を正確に積み重ねること。伝票の入力、支払いの確認、請求書の整理。どれも地味に見えますが、その1つひとつが信頼を築いています。
経理は「会社の現状を数字で見せる鏡」です。正しい数字があれば、経営者も現場も迷いません。さらにその数字を読み解けば、「次に何をすべきか」まで見えてきます。
経理は、過去を整理し、現在を支え、未来をつくる仕事。そこに正確さと誠実さがある限り、経理の力は会社を強くします。
また、経理のもう一つの価値は「信頼の積み重ね」です。支払いを遅らせない、数字を間違えない、約束を守る。この当たり前の行動こそが、取引先・金融機関・社員の安心を生みます。
経理が整うと、会社が変わる。数字が整うと、判断が変わる。そして、あなた自身の見える世界も変わります。
経理は静かなチカラです。目立たなくても、会社を支え、未来を動かす原動力になります。今日もひとつ、正確な数字を積み重ねる。その小さな一歩が、明日の会社を変えていくのです。
これから経理を学ぶ方へ。焦らず、丁寧に、数字と向き合ってください。その積み重ねが、確かな自信と成長につながっていきます。
