なんで経費が多いの?初心者がやりがちな“ムダ費用”の見抜き方
目次
なんで経費が多いの?初心者がやりがちな“ムダ費用”の見抜き方
経費が思ったより多いと感じたとき、何から見直せば良いのか迷うことがあります。
しかし、ムダ費用にはいくつかの共通パターンがあり、ポイントを押さえればすぐに気付くことができます。
この記事では、お金の流れを整理し、ムダを見抜くための具体的な方法を分かりやすく紹介します。
日々の支出を少し見直すだけでも、会社のお金は大きく守れます。
1. 経費が多くなる会社の共通パターンとは?
経費が思った以上に増えていると感じても、どこから確認すればよいのか分からず対応が遅れてしまうことはよくあります。
しかし、経費が膨らむ会社には共通して見られる特徴があり、その多くは初心者でも確認できるシンプルなものです。
ここでは、特に多くの会社で当てはまりやすい 経費が増えやすい5つのパターン を整理しました。
どれか1つでも当てはまる場合、気付かないムダが潜んでいる可能性があります。
(1) 固定費の見直しが長期間行われていない
固定費は一度契約すると変更されにくく、見直しが後回しになりやすい費用です。
利用頻度が減っていても古いプランのまま使い続けるケースはよくあります。
次のような状態に心当たりがないか確認してください。
・人数が減ったのに多人数プランを契約したまま
・月に数回しか使わないのに高額プランを維持している
・新しい割安プランが出ているのに比較していない
例えば、ほとんど使わないツールに毎月高い料金を支払い続けるケースがあります。
固定費は毎月積み重なるため、1つ見直すだけでも年間費用が大きく変わります。
契約内容と利用状況の差を確認することが、ムダ削減の第一歩です。
(2) 変動費の増減に理由を説明できない
変動費は本来、業務量に合わせて動く費用です。
しかし、金額だけ増えているのに理由が説明できない場合はムダが混ざっている可能性があります。
次のような点は特に注意が必要です。
・交通費が増えているのに訪問件数が増えていない
・消耗品の購入量が増えているのに使用記録がない
・仕入れだけ増えているのに売上が比例していない
例えば、コピー用紙の購入量が増えているのに印刷業務は増えていないケースがあります。
変動費は 金額の動きと実際の作業内容が一致しているか を確認するとムダを見つけやすくなります。
理由が説明できない支出は優先的にチェックすべきポイントです。
(3) 契約やツールがなんとなく残っている
ツールやサービスは、導入は簡単でも解約は後回しになりやすい特徴があります。
業務内容が変わったのに、過去の契約だけが残り続けているケースは珍しくありません。
次の状態はムダにつながりやすいです。
・使用担当者が不明な契約が残っている
・以前のプロジェクト用ツールをそのまま放置している
・ほとんど使っていないのに自動更新されている
こうした契約は、一度棚卸しするだけで大きく削減できます。
今の業務に必要かどうか を基準に判断することで、ムダが減らせます。
(4) 経費の判断を感覚で行ってしまっている
初心者に多いのが、根拠を確認せず「必要そう」という感覚だけで経費を残してしまうパターンです。
小さな支出でも積み重なると大きなムダになります。
次の状態は改善の余地があります。
・昔から使っているからという理由だけで続けている
・効果を確認せずサービスを使い続けている
・少額だからと見直しを後回しにしている
たとえ少額でも、1年続けば大きな支出になります。
支出の理由と効果を整理することでムダを防ぎやすくなります。
(5) 支出の背景が記録されていない
支出の目的が記録されていないと、後から必要性を判断できません。
結果として曖昧な支払いが続き、ムダが放置される原因になります。
次の状態は特に注意が必要です。
・どの業務で使ったのか記録が残っていない
・何のための支出か説明できない
・誰が使った備品なのか不明なまま購入している
例えば、毎月備品を購入しているのに使い道を説明できないケースがあります。
用途・担当者・必要性 の3つを記録しておくことで、見直しが圧倒的に楽になり、ムダを早期に発見できます。
2. ムダ費用を見抜くための支出の見える化の基本
経費を正しく把握するためには、まずどこにお金が流れているのかを把握する必要があります。
多くの初心者がつまずくポイントは、実際の支出が整理されておらず、状況が曖昧なまま月末を迎えてしまうことです。
ここでは、ムダ費用を発見するために必要な支出の見える化の基本ステップを整理します。
複雑な方法は使わず、初心者でもその日から実践できる内容だけに絞っています。
(1) 支出を種類ごとに整理する
支出を管理するとき、最初に行うべきは種類ごとに分けて並べることです。
金額だけを見ても原因は分からず、ムダが埋もれてしまいます。
まずは次の3分類に仕分けしてください。
・固定費
・変動費
・イレギュラー費(突発的支出)
この3つに分けるだけで、お金の動きが一気に見やすくなります。
特に固定費は毎月必ず発生するため、ムダが混ざっていても気付かれにくい項目です。
反対に変動費は月によって上下するため、金額の変化に理由があるかを確認するだけでムダを見つけやすくなります。
(2) 前月比で増えている項目だけをチェックする
次に確認するのは、前月と比べて増えている項目です。
初心者でも判断しやすい方法は、増えた理由を説明できるかどうかを基準にすることです。
・プロジェクトが増えたから
・来客が多かったから
・広告を強めたから
・売上が増えて仕入れも増えたから
こうした理由があるなら問題ありません。
しかし、次のような状態はムダが混ざっている可能性が高いです。
・なんとなく増えている
・誰が使ったのか分からない
・必要だった理由が曖昧
前月比のチェックは、ムダ費用を最短で見つけるための有効な方法です。
理由が説明できない支出は、一旦止めるか再確認することが重要です。
(3) 発注ロットや購入単位のミスで起きるムダに注目する
経費の中でも意外と見落とされやすいのが、発注ロットや購入単位のミス によって生まれるムダです。
単価が安いため軽く扱われがちですが、頻度が増えれば確実に費用を押し上げます。
特に初心者ほど数量の判断が曖昧になりやすく、無意識のうちに余分な在庫や不要なストックを生みやすい特徴があります。
次のような支出は注意が必要です。
・使い切れない数量をまとめ買いして在庫化する
・業務量に対して過剰な消耗品を発注してしまう
・発注担当者によって数量判断がバラバラになっている
これらは単価が低くても、積み重なると大きな損失につながります。
在庫として眠らせたまま使い切れない場合、実質的には“使わないものを買った”のと同じです。
月に一度、使用量と発注量の差を確認するだけで、ムダな仕入れを防ぐことができます。
(4) 支出を担当者ごとに見てみる
支出を担当者ごとに整理すると、ムダを発見しやすくなります。
部署単位よりも担当者単位のほうが、使用目的や必要性が分かりやすいからです。
次のような確認が効果的です。
・特定の担当者だけ費用が増えていないか
・目的に対して費用の使い方が適切か
・同じ作業でも人によって支出に差が出ていないか
担当者単位で見ると、使われ方のクセが分かり、改善策も立てやすくなります。
(5) 支出の背景が記録されていない
支出の目的が記録されていないと、後から必要性を判断できません。
結果として曖昧な支払いが続き、ムダが放置される原因になります。
次の状態は特に注意が必要です。
・どの業務で使ったのか記録が残っていない
・何のための支出か説明できない
・誰が使った備品なのか不明なまま購入している
例えば、毎月備品を購入しているのに使い道を説明できないケースがあります。
用途・担当者・必要性 の3つを記録しておくことで、見直しが圧倒的に楽になり、ムダを早期に発見できます。
3. ムダ費用を無くすための“実践ステップ”と仕組みづくり
経費のムダを減らすためには、原因を見つけるだけでは不十分です。
本当に大切なのは、ムダを二度と増やさない仕組みを作ること です。
どれだけ見直しをしても、仕組みが弱いと数ヶ月後にはまた同じ状態に戻ってしまいます。
特に初心者の場合、感覚で判断したり、記録が曖昧になったりして、再発を招きやすい傾向があります。
ここでは、初心者でもすぐ実践できて、継続しやすい形に絞って“ムダの再発防止ステップ”をまとめました。
(1) 支出のルールを“見える形”にして共有する
ムダ費用が発生する背景のひとつに、社内のルールが曖昧なまま進んでいること があります。
「なんとなく買った」「前からこうしている」という曖昧な判断を減らすために、まずは購入ルールを明確にします。
次のような基準を作ると効果的です。
・発注できる人を決めておく
・購入の金額ラインを設定する
・購入理由を必ずメモに残す
ルールは難しいものにする必要はありません。
むしろ、誰でも守りやすい簡単な基準 にするほど効果が出ます。
特に「誰が買うか」を決めるだけでも、購入の重複が一気に減ります。
(2) 月に1回だけ“支出の棚卸し”をする
棚卸しというと難しく感じますが、実際は月1回、全支出を軽く振り返るだけで十分です。
初心者でも続けやすい棚卸しのコツは、次の3点を確認することです。
・使っていない契約やツールが紛れていないか
・前月と比べて急に増えている項目がないか
・使用量と購入量のバランスが合っているか
この3つに絞るだけで、ムダのほとんどは一目で見つかります。
棚卸しは短時間ででき、月末の支出を安定させる強力な習慣になります。
(3) 小さな支出こそ“都度精算”ではなく“集約管理”に切り替える
少額の支出が多い会社ほど、ムダ費用が発生しやすい特徴があります。
少額だからこそ油断しやすく、記録が漏れたり、目的が曖昧になりがちです。
そこで効果的なのが、少額費用を担当者ごとに“集約”して管理する方法です。
・1ヶ月分の少額費用をまとめて記録する
・購入目的を書いたメモをセットにする
・担当者単位で月ごとの支出傾向を把握する
こうすると、1つ1つの支出を追うよりも全体像が分かりやすくなります。
少額のムダは気付きにくいですが、積み重なれば数万円単位になることも珍しくありません。
集約管理に切り替えるだけで、費用の流れが明確になり、不要な購入が自然と減っていきます。
(4) ムダを減らす目的を“経費削減”ではなく“利益を守る”に変える
初心者にありがちな失敗は、経費削減=節約 と捉えてしまうことです。
この考え方だと「節約しなきゃ」という気持ちが強くなり、続けるのが苦しくなります。
本来の目的は、節約ではなく 利益を守ること です。
経費を正しく使うことで、お金を守り、会社の体力を維持できます。
この意識に変えることで、経費管理が苦痛ではなく、必要な業務として自然に続けられるようになります。
(5) 自分で判断しきれない時の“相談先”を決めておく
初心者がつまずく最大のポイントは、判断に迷ったときに相談できる相手がいない ことです。
支出の必要性が曖昧な場合や、金額が大きい場合は、ひとりで判断するより相談したほうが安全です。
相談相手としておすすめなのは次の通りです。
・税理士、会計士などの専門家
・信頼できる経理担当者
・経営者仲間
迷ったときにすぐ相談できると、判断のブレがなくなり、ムダ費用の再発を防ぐ力が一気に高まります。
まとめ
経費が増える背景には、気付かないまま続いている支出が多く含まれています。
固定費の放置や理由が曖昧な購入、使用量と発注量のズレなどは、少し見直すだけで削減できます。
月1回の棚卸しやルールの整理を習慣にすることで、ムダの再発を防ぎやすくなります。
重要なのは節約ではなく、会社のお金を適切に使える状態を整えることです。
支出の流れを把握し、必要な場面で正しく使えるようになると、経営の安定につながります。
さらに、日々の支出を記録し、理由と目的を残しておくことで判断の迷いが減り、ムダな出費を自然に減らすことができます。
こうした小さな取り組みを積み重ねることで、将来の利益を守り、より良い経営判断ができる強い体制が整います。
継続して取り組むことが、会社のお金を守り、長く事業を続けるための大きな力になります。