法人化前後で見直すべきお金の流れと役員報酬管理のコツ
目次
法人化前後で見直すべきお金の流れと役員報酬管理のコツ
法人化すると、請求書の名義や口座だけでなく、お金の流れ全体が変わります。
今までと同じ感覚で管理を続けると、個人と法人のお金が混ざります。
その結果、どの入金がどこから来たのかを確認する手間が増えます。
入金先やカード、給与、税金の手続きを最初に変更すれば、後で確認する手間が減ります。
この記事では、法人化後に見直すべきお金の流れを、具体的な行動を元に整理します。
1.法人化直後に最初に取り組むべきお金の管理ステップ
①法人口座を開設した直後に入金先を変える
請求書を作るとき、前に使った振込先のままにしています。
そのまま取引先に送り、入金を待っています。
・請求書の振込先を変更せずに出してしまう
・取引先に口座変更の案内を送っていない
・どの入金が旧口座に入るか確認していない
入金があるたびに個人口座の通帳を開いています。
通帳に並んだ金額を見て請求書と照らし合わせています。
そのため、入金ごとに確認の手間が増えています。
そこで、請求書の振込先を法人名義に書き換えます。
その結果、個人口座から法人名義口座へ売上が入金されるようになります。
法人通帳で売上をそのまま確認でき振替せずに把握できます。
②個人口座で受けた売上を法人へ移した最初の処理
入金があったとき、個人口座の通帳を開いています。
そのまま通帳を閉じて確認だけで終えています。
・個人口座の売上をそのまま個人の売上として扱っている
・法人の売上として記録していない
・振替の記録を残していない
入金された金額が個人口座に残ったままになっています。
その金額を法人の口座へ移していません。
そのため、法人の売上として帳簿に反映されていません。
そこで、個人口座の売上を法人へ移します。
その結果、個人口座で受けた売上が法人の売上として扱われます。
法人の売上としてそのまま確認でき整理しやすくなります。
③法人カードを発行した直後に支払い先を切り替える
支払いをするとき、個人カードでそのまま決済しています。
そのまま毎月同じカードから引き落とされています。
・支払いをずっと個人カードのままにしている
・法人カードを作っただけで使っていない
・毎月引き落とされる支払いのカードを変えていない
毎月の引き落としが個人カードに残り続けています。
法人カードは発行したまま使われず、そのままになっています。
そのため、支払い先が切り替わらず同じ状態が続いています。
そこで、支払いのカードを法人カードに切り替えます。
その結果、個人カードの引き落としが発生しなくなります。
法人カードで支払いをそのまま確認でき管理しやすくなります。
④個人カード決済が混ざった最初の月に精算を分ける
支払いをしたあと、カード明細を開いています。
明細に個人と法人の支払いが並んでいます。
・個人と法人の支払いを一緒にしている
・どの支払いがどちらか分からなくなっている
・あとで精算せずにそのままにしている
明細に並んだ支払いをそのまままとめて見ています。
支払い内容を帳簿にそのまま記録していきます。
個人と法人の支払いが混ざったままになっています。
そこで、個人と法人の支払いを分けて処理します。
その結果、法人が負担する支出と個人が負担する支出の範囲が決まります。
支払いをそのまま区別でき整理しやすくなります。
⑤現金で払っていた経費を法人管理へ切り替える
レジで支払いをするとき、現金をそのまま出しています。
その場でレシートだけ受け取って店を出ています。
・現金での支払いをそのまま続けている
・カードで払えるのに変えていない
・支払いの記録が残っていない
現金で支払った金額と支払い先を帳簿にすぐ記録していません。
そのため、あとでレシートを見ながら帳簿に1件ずつ書き込んでいきます。
どのレシートか確認しながら整理しています。
そこで、支払いをカードに切り替えます。
その結果、現金での支出が減りカード履歴にまとまって表示されます。
履歴をそのまま確認でき記録しやすくなります。
2.法人化後に取り組むべき請求と税金の管理ステップ
①取引先へ請求書の名義変更を伝える
請求書を作るとき、前に使った名義をそのまま入力しています。
入力した名義で書類を作成して送り、振込の連絡を待っています。
・請求書に法人名義を記載していない
・取引先に口座変更の連絡をしていない
・旧口座に振り込まれた売上を把握していない
これらの状態で請求書を作成しています。
記載した名義で振込が行われ、振込明細に個人名義が表示されます。
そのため、法人の売上として確認できません。
そこで名義と振込先を法人へ変更します。
その結果、法人名義で支払いがスムーズに行われるようになります。
請求書と入金の名義を見て、すぐに確認できます。
②法人名義で最初に発行した請求書の金額を記録する
入金があったとき、法人と個人の通帳を見て金額を確認しています。
そのまま帳簿を開かずに別の作業に進んでいます。
・法人口座への入金を帳簿に記録していない
・売上が個人口座に入ったまま移していない
・請求書の金額と入金額を見比べていない
この状態で帳簿に書かないまま入金が続いています。
どの請求書のものか分からないまま金額だけが増えていきます。
帳簿に書かれていないため確認できません。
そこで入金された金額をその場で帳簿に書き、法人の売上として残します。
その結果、法人名義で売上が一目で確認できるようになります。
あとで通帳を開いたときも、売上の金額を探し直さずに済みます。
③個人名義の契約を法人名義へ切り替える
取引先と金額や振込先のやり取りの内容を見ながら請求の準備を進めています。
会社の売上のはずなのに名義が違っています。
名義を変えないままいつも通り請求書を作っています。
・個人名義の契約書をそのまま更新している
・契約先に名義変更の連絡をしていない
・法人名義で請求や支払いをしていない
このままでは個人名義で入金されます。
すると請求書と入金の名義が一致しなくなります。
そこで契約書と請求書の名義を法人に書き換えます。
その結果、法人名義で契約を管理できるようになります。
会社の売上なのに個人名義で入金されることがなくなります。
④法人化後に初めて税金を差し引いた給与を支払う
法人化後、初めての給与を計算して支払う金額を出しています。
法人化前と同じように、税金を引かないまま振込の準備を進めています。
・源泉徴収を給与から差し引いていない
・差し引いた金額を税金として納めていない
・給与の金額と税金を分けて記録していない
このままでは税金を引かずに給与を振り込んでしまいます。
さらに、振込を行ったあと、税金分をどうするか迷ってしまいます。
そこで、税金分を差し引いて手取り額で振込を行います。
その結果、給与から税金を引いて、きちんと支払えるようになります。
給与の金額と税金の金額も分けて記録できるようになります。
⑤法人名義で消費税を初めて請求書に加算する
法人名義で初めて請求書を作るとき、売上の金額だけを書いています。
売上の合計金額だけを書いて、請求書を作成しています。
・消費税を請求書に加算していない
・消費税の金額を帳簿に記録していない
・消費税の納付予定額を把握していない
このままでは消費税を加えずに請求書を出してしまいます。
さらに、消費税の金額を記録せず、納める金額も分からないままになります。
法人として、消費税の金額を管理できていません。
そこで、請求金額に消費税を加えて請求書に反映します。
その結果、消費税の管理が法人で一貫して行えるようになります。
請求書を見返したとき、消費税の金額がそのまま確認できます。
3.法人化後に決める役員報酬と引き出し方
①役員報酬の金額を初回の会議で決める
法人化後、初めて役員報酬の話をする会議を開いています。
毎月いくらにするかをきちんと決めないまま、話を進めています。
・役員報酬の金額を決めていない
・月ごとの利益を見ずに金額を決めている
・会社に残すお金を考えずに決めている
このままでは役員報酬の金額が決まらないままになってしまいます。
月ごとの利益が分からないまま、役員報酬の金額を決められません。
そこで、月ごとの利益と会社に残る資金を確認して役員報酬の金額を決めます。
こうして、報酬金額が決まることで、経営資金が明確になります。
支出のたびに手元に残る金額を何度も計算し直す必要がなくなります。
②毎月同額の振込を始めた月に私的引出しを止める
生活費やちょっとした支払いのたびに、口座からお金を引き出しています。
・売上が入るたびに口座からお金を引き出している
・役員報酬とは別にお金を受け取っている
・引き出した理由を記録していない
このままでは、引き出したお金が何に使われたか分からなくなってしまいます。
会社の支払いと生活費が、同じ口座から出ていってしまいます。
あとから使い道を一つずつ確認することになってしまいます。
そこで、法人口座から生活費を出さないようにします。
こうして、会社と個人のお金を分けることで、経理が整理しやすくなります。
法人口座を、会社専用として管理できるようになります。
③役員報酬のルールを決めたあとに守る
役員報酬の金額を決めたあと、毎月の振込を始めています。
月末になると支払いが重なります。
口座の残高を見て、支払う日や金額が少しずつ変わっています。
・決めた報酬額を途中で変更している
・報酬を支払う日を決めていない
・報酬として受け取った金額を記録していない
このままでは、月ごとに違う金額を振り込むことになります。
さらに、支払う日がずれるたびに残高を計算し直すことになります。
そこで、支払う日と金額を決めて振込後に書き残します。
その結果、毎月出ていく役員報酬が同じ金額になります。
報酬額とは別に、会社のお金を思いつきで動かすことがなくなります。
④個人で立て替えた支払いを法人から個人へ振込する
出先で急ぎの支払いがあり、個人のお金で立て替えています。
あとで請求するつもりのまま、領収書を机に置きっぱなしにしています。
そのまま忘れて、紛失してしまうこともあります。
・立て替えた金額を帳簿に記録していない
・誰が何を払ったか分からなくなっている
・立て替えたまま月をまたいでいる
このままでは、誰が何に使ったお金かがわからなくなります。
金額が分からないまま、返金が遅れることもあります。
そこで、払った金額をその都度記録し、振り込み手続きを進めます。
その結果、立て替えた金額と振込履歴が記録として残ります。
お金の流れが明確になることで、支払い内容がすぐに把握できるようになります。
⑤個人の確定申告をやめる前年の資料を整理する
法人化後、初めて会社の申告書類を準備しています。
個人と法人の書類が混ざり、どれを使えばいいか分からなくなっています。
・個人の申告資料をそのままにしている
・法人の申告に必要な資料を分けていない
・前年の数字をまとめていない
このままでは、前年の収支の記録を見直すところから始まってしまいます。
さらに、期限までに必要な書類がそろわず困ってしまいます。
そこで、法人で使う資料と前年の申告に使った書類を先にまとめておきます。
その結果、申告に使う資料を直前に探し回らずに済むようになります。
翌年度以降は、どの資料を使うか悩まずに申告に必要な書類を準備できます。
まとめ
法人化後は、お金の流れを「法人用」としてしっかり分けることが大切です。
まず、入金先を法人口座に変えることで、管理がスムーズになります。
次に、カードを法人用に切り替えることで、確認作業が減ります。
さらに、請求書の名義変更や消費税の記録を整理することで、帳簿や通帳を何度も見返す手間が省けます。
最初にお金の流れを整えておけば、翌月以降や確定申告の際もスムーズに進められます。
法人化後は、売上の入金先や支払い先、記録の方法をしっかり整理しておくことがポイントです。